農地法案
参議院 農林委員会
昭和27年法律第229号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院農林委員会
- S27.3.19趣旨説明農林委員会 1580
- S27.6.6質疑農林委員会 4163
- S27.6.7質疑農林委員会 42102
- S27.6.10質疑農林委員会 4354
- S27.6.11質疑農林委員会 4481
- S27.6.12質疑農林委員会 4538
- S27.6.17修正案・修正案趣旨弁明・討論・採決(修正)農林委員会 4728
- S27.6.19委員長報告・討論・採決(修正)・修正案本会議 5772
提案理由
廣川弘禪 農林大臣 昭和27年3月19日農地法案及び農地法施行法案の提案理由を御説明申し上げます。
御承知の通り、わが国の農地改革は、戰後占領政策の重要な一環として取り上げられ、すでに小作地の自作地化は二百万町歩、創設されました自作農は四百二十万戸を数える輝かしい成果を収め、世界的に高い評価を受け、ほぼ所期の目標を達成したわけであります。しかしながらこれは自作農を急速かつ、広汎に創設するという農地改革の第一段階を終つたということでありまして、この成果の維持というきわめて困難かつ、重要な事業は、なお今後の課題として残されているのであります。
この課題を解決して参りますためには、農地はその耕作者みずからが所有することを原則とし、しかも農家経営の零細化を防ぎ、望ましい中堅自作農を育成して参りますことが肝要でありまして、この農地改革の原則を制度的に従来同様維持して参りますことが第一の方途となるわけであります。
このためには、農地の所有権の移動を制限いたしまして小作地の自作地化を一層促進し、自作地が再び小作地化しないよう措置いたしますとともに、小作関係を調整して耕作者の地位の安定をはかることが必要であります。なお経済的な困難からする自作農の転落については、低利長期の農地担保金融制度の実現が今後の課題としてきわめて重要であることは申すまでもないところであります。
さらに積極的な農地造成といたしまして、未墾地開拓の問題があります。すでに百二十万町歩の未墾地を取得いたしまして、四十万町歩の開墾が行われたわけでありますが、この問題は、食糧増産の見地からも、また農家の二、三男対策、過小農対策の一環といたしましても重要な意義を持つわけでありまして、農地改革の成果維持の方策の一部門としてきわめて重要な内容をなすものと考えるのであります。
以上申し上げましたところを実施して参りますためには、これらを経済的に、かつ法律的に確立いたしますことが必要でありまして、従来農地改革の法律的基盤となつておりましたのは、農地調整法、自作農創設特別措置法及びいわゆるポツダム政令であります自作農創設特別措置法及び農地調整法の適用を受けるべき土地の譲渡に関する政令の三法令でありますが、御承知の通り、講和條約の発効により、ポツダム政令は、国内法に切りかえることとなりましたため、この政令にかわる新たな立法措置を必要とすることになつたわけであります。なお従来の三法令は、その構成が錯雑しておりまして、難解な点も多くありましたので、これを機会に、三者の内容を整理統合いたしまして、農地改革の成果維持のための基本法として新たな立法措置を講ずることといたしたわけであります。
従いましてこの農地法案は、内容的には、従来の三法令のそれと大差ないわけでありますが、そのおもな内容について御説明申し上げますと、第一に既墾の農地につきまして、権利の設定、移転及び転用に許可制をとり、地主の小作地保有に制限を課しておりますのは従来と同様でありますが、この制限に抵触する土地が生じましたときは、一定期間内に譲渡するよう義務づけ、これを果さない場合にのみ国が買収すると簡易な方式に改めております。
第二に、小作地につきましては、耕作者の生産意欲を失いませんように賃借権の解除解約の制限、小作料の統制等は継続して行うこととしており、また採草地、薪炭林等につきましても、従前通り利用権設定の調整を措置いたしております。さきに申し上げました農地担保金融は、新たな制度として法制化するに至りませんでしたので、今後の実現にゆだね、さしあたつては自作地を国が買収し、ただちにこれを売りもどし、その代金を年賦払いとすることにより金融同様の効果を収めるよう措置いたしております。
第三に、未墾地につきましては、従来その買収売渡しの手続の法制化が十分でない点がございましたので、都道府県開拓審議会を全面的に關與せしめることといたします等、その手続を慎重、かつ明瞭にいたしますとともに、売渡し後一定期間までは自由な処分を禁止いたしまして、開拓の成果の維持を保障することとしております。
第四に、農地改革によつて創設されました農地は、従来その他の農地と取扱いを異にしておりましたが、これを原則として同一の取扱いをいたします等全般的に諸手続の簡素化をはかりますとともに、極力理解しやすい表現によることに留意いたしたのであります。
第五に、国が現在までに取得いたしました未墾地のうち一部開拓に供し得ないものがありますので、これを旧所有者に返還いたすよう措置することといたしました。
以上がこの農地法案の主な内容でございますが、この法律案の施行に伴います経過措置と関係法律の改正を行う必要があるわけでありまして、その内容が多岐にわたりますので、これを別に農地法施行法案として立案いたしたわけであります。
農地法案及び農地法施行法案の概略は、おおむね以上の通りでございますが、冒頭に申し上げました農地改革の成果の維持のため必要な措置の法制的部面を担当するものでありますので、何とぞ愼重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。
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第13回国会衆議院農林委員会議録第15号16頁(昭和27年3月19日)〔廣川弘禪農林大臣発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム
立法資料のある条文
この法律案の審議で取り上げられた条(政府答弁の件数順)出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=101301084)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。