住宅金融公庫法の一部を改正する法律案
参議院 建設委員会
昭和29年法律第87号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院建設委員会
提案理由
戸塚九一郎 建設大臣 昭和29年3月8日ただいま議題になりました住宅金融公庫法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由とその概要を御説明申し上げます。
住宅金融公庫は、御承知の通り昭和二十五年に発足し、以来国民大衆に健康で文化的な生活を営むに足る住宅の建設資金を融通して、いわゆる公庫住宅を多数建設して参り、公営住宅の建設とともに国の二大住宅供給方策の一つとして、大きな役割を果して参りました。
しかるに、最近における建設費の騰貴と特に地価の急激な高騰による土地取得難は、住宅建設の大きな障害となり、公庫資金借入希望者に対しても甚大な影響を与えているのであります。政府といたしましては、このような公庫融資による住宅建設における当面の障害を除去し、住宅建設が円滑に行われるよう方策を講ずる必要が出て参つたわけでありますが、まず建設費につきまして、標準建設費を実情に即するように改訂し、これにより自己資金の負担が過大とならないように措置した次第であります。
次に土地問題につきましては、公庫利用者の土地取得難の現況にかんがみ、土地の開発造成について融資をすることにより、低廉な宅地の供給をはかる措置を講ずるとともに、住宅の高層化を促進して、土地の高度利用を促進いたしたいと考えているのであります。このため公庫業務の範囲を拡充し、貸付条件の変更を行う必要が出て参りましたので、住宅金融公庫法について所要の改正を行うこととなり、ここに公庫法の一部改正案を提案した次第であります。以下改正案の主要な点について御説明申し上げます。
まず第一に、土地を開発造成して低廉な宅地の供給の増大をはかるため、地方公共団体その他の法人が土地を開発して譲渡する事業を行う場合、それらの法人に対しまして、公庫は、土地の取得、造成に要する資金を融通して、公庫住宅建設希望者にあとう限り低廉な宅地を取得させる方策を講じたことであります。
第二に、現在住宅を建設して譲渡する事業を行う者に対しまして、直接に資金を融通する道がないのでありますが、このたびこれらの事業を行う地方公共団体等に対し公庫資金融通の道を開いたのであります。この方策により開発造成宅地または既存宅地に集団的に住宅を建設してコストの引下げをはかり、良質かつ低廉な住宅を手軽に入手できるようにいたしたいと存じます。
第三に、高層住宅につきましては、貸付金の償還期間が、現行では三十五年でありますのを五十年に延長することにいたしたのであります。既存宅地を最も効果的に利用するためには、高層住宅の建設の促進をはかることが適切な方法であることは申すまでもないところでありますが、一方建物の高層化によつて建設費が増大し、高層住宅の入居者の家賃等も増加いたしますので、この際償還年限を延長し、高層住宅の入居者の負担を軽減して高層住宅の建設を促進せんとするものであります。
第四に、賃貸または分譲事業を行う法人等が、その所有地に住宅の建設資金のみを借り受けて高層住宅を建設する場合には、当該家屋内の住宅の建設費と当該家屋内の住宅の建設のために通常必要とする土地を取得するに要する費用に相当する金額を合計した額の八割五分に相当する金額までを貸し付けることができるようにいたしたのであります。これにより遊休宅地の利用の促進と住宅の高層化をはかることにいたしました。
第五に、公庫は、公庫の貸付金にかかる高層家屋が建設される場合において必要と認める場合には、当該家屋内の住宅以外の部分が事務所、店舗等に利用されましても、その部分の主要構造部、すなわち柱、壁、床等を建設するに必要な資金を貸し付けることができることといたしましたのであります。これは既存宅地の高度利用によつて住宅敷地の確保を容易にするためであります。
なお災害のあつた場合、被災者の公庫利用を容易ならしめるため、地震、暴風雨等の災害により滅失した住宅に災害当時居住していた者が、災害発生の日から二年以内に公庫の融資を受けて住宅を建設する場合には、貸付金の償還期間を三年以内延長し、三年以内のすえ置き、期間を設けることといたしました。
その他公庫の附帯業務の整備をはかるほか、前述の改正に伴い必要な関係法規の改正を行おうとするものであります。
以上が住宅金融公庫法の一部を改正する法律案の提案理由及びその概要でありますが、何とぞ慎重御審議の上、御可決あらんことをお願いする次第であります。
第19回国会衆議院建設委員会議録第9号6頁(昭和29年3月8日)〔戸塚九一郎建設大臣発言・発言番号6〕 会議録 国会会議録検索システム
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=101901078)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。