あへん法案
参議院 厚生委員会
昭和29年法律第71号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院厚生委員会
参議院厚生委員会
- S29.4.1趣旨説明厚生委員会 2274
- S29.4.6詳細説明厚生委員会 23102
- S29.4.9質疑厚生委員会 2543
- S29.4.12質疑厚生委員会 2645
- S29.4.13修正案趣旨説明・採決(修正)厚生委員会 2776
- S29.4.16委員長報告・採決(修正)本会議 3545
提案理由
草葉隆圓 厚生大臣 昭和29年3月11日ただいま議題となりましたあへん法案につきまして提案の理由を御説明申し上げます。
あへんは、国民医療上必要不可欠な麻薬の原料として、きわめて貴重なものであることは申すまでもないところであります。このあへんの供給につきましては、国がその適正な調整をはかつて来たのでありますが、あへんの国内保有量は逐次減少いたしまして、今後、国が輸入の方途を講ずるとともに、終戦直後禁止されましたけしの栽培をこの際復活する必要が生じて来たのであります。また一方我が国は、一九五三年六月ニューヨークにおいて調印いたしました条約、すなわち、けしの栽培並びにあへんの生産、国際取引、卸取引及び使用の制限及び取締に関する議定書の要請に基きまして、あへんの輸入、輸出、一手買取り及び売渡しの権能を国に専属せしめる義務も生ずることと相なりますので、これらの諸情勢に即して国民医療の万全を期するために、このたび、あへん法案を提出いたしました次第であります。
次に、この法律案の大要について御説明申し上げます。
第一に、けしの栽培についてでありますが、あへんの生産計画及び取締り上の観点から栽培区域並びに栽培面積を指定し、その範囲内におきまして、適正にして栽培経営能力等々有する者に栽培許可を与え、あへんの生産をさせることといたしております。また、けし栽培の経営につきましては、遺憾なきを期するため特にけし耕作者に対しまして、播種前における収納価格の公告、モルヒネ鑑定前の概算払い及び災害補償等の制度を設けております。なお学術研究のため、特にけしの栽培、あへんの採取等を希望する者のために、研究栽培者の制度もあわせて考慮いたしております。
第二に、あへんの収納及び売渡しについて申し上げます。国は、けし耕作者等の生産しましたあへんをすべて収納いたしすが、その収納価格は、あへんの生産事情、輸入価格及びその他の経済事情等身考慮して適正な価格を定めることにいたしております。また収納いたしましたあへんは、輸入しましたあへんとともに国が保有し、国内需給事情に即して適正な数量を麻薬製造業者に売り渡し、もつて医療用麻薬の適正な生産を期しております。
第三に、取締りについて申し上げます。あへんは前述のごとく医療上不可欠の麻薬の原料でありますが、その反面恐るべき有害作用がありますので、従来麻薬取締法に基きまして種々の取締りを行つて来たのでありまして、このあへん法案におきましても、麻薬取締法にのつとり、同様の取締りをすることにいたしております。特にけしの栽培の復活に伴いまして、けしの栽培、あへん、けしがら等の取扱いに関し、新たな取締りが必要となつて参りますので、取締り規定を整備いたしますとともに、あへん監視員の制度を設けて、取締り上遺憾なきを期しております。
以上が、この法律案の大要でありますが、あへんに関しましては、すでに明治十一年薬用阿片売買並製造規則の制定以来、けし栽培を許可しあへんの生産をさせるとともに、国はあへんについて専売を行つて来たのであります。さらに、明治三十年には、この規則を整備いたしまして阿片法を制定し、爾来昭和二十三年に至るまで施行して来たのではありますが、昭和二十年、連合軍総司令部の覚書によつてけしの栽培は禁止され、あへんは凍結されて、阿片法は事実上死文化しましたため、昭和二十三年麻薬取締法の制定を契機として廃止されて今日に及んでおるのであります。従いまして、今日冒頭に申し述べました通りの事情が生じておりますので、何とぞ右の事情御了察の上、慎重御審議、すみやかに可決せられんことを切望する次第であります。
第19回国会衆議院厚生委員会議録第13号9頁(昭和29年3月11日)〔草葉隆圓厚生大臣発言・発言番号33〕 会議録 国会会議録検索システム
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=101901089)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。