国有林野法等の一部を改正する法律案
参議院 農林委員会
昭和29年法律第83号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院農林委員会
- S29.4.14趣旨説明・質疑農林委員会 30115
- S29.4.16質疑農林委員会 31103
- S29.4.17質疑・採決・附帯決議農林委員会 3264
- S29.4.17委員長報告・採決本会議 3829
- S29.6.15附帯決議本会議 671
参議院農林委員会
- S29.4.19趣旨説明農林委員会 26220
- S29.4.23質疑・附帯決議・討論・採決農林委員会 2775
- S29.4.26委員長報告・採決本会議 3937
- S29.6.15附帯決議本会議 9991
提案理由
保利茂 農林大臣 昭和29年4月14日議題となりました国有林野法等の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
御承知のように、国有林野と地元とは、沿革的にきわめて密接な協力関係にございまして、国有林といたしましても、管理経営上地元の協力に期待するところ多大なものがありますとともに、他方地元に対しましては、国有林野所在地元市町村交付金の交付を初め、部分林、共用林野の設定、国有林野の貸付使用、薪炭原木の縁故特売等の地元施設制度の推進を通じ、はたまた国有林野整備臨時措置法による国有林野の売り払い等の措置によりまして、地元市町村財政の確立と産業の振興及び地元住民の生業の維持に努力して参つたわけであります。
国有林におきましては、この際さらに国有林野と地元との従来からの協力関係にかんがみ国有林野の貸付、使用料等の減免等を行い、農山漁村経済振興に資したいというのが本法案提案の基本的理念であります。以下本法案の骨子を御説明申し上げます。
この法案は国有林野法の一部改正と国有林野整備臨時措置法の一部改正との二箇条から相なつております。
改正の要旨は、まず第一に、林道、農道、水道施設、用排水路、水害、火災の予防施設その他公用、公共用または公益事業の用に供するため、国有林野を地元の地方公共団体、水害予防組合、土地改良区、森林組合、農業協同組合、水産業協同組合等に貸し付け使用させている場合に、その対価を無償または時価よりも安く定めることができることとした点であります。従来も国有財産法第二十二条の規定によりまして、国有財産を公共団体等に対し、緑地、公園、ため池、火葬場、墓地、塵埃焼却場、屠畜場または生活困窮者の収用の用に供する場合に無償で貸し付けることができたのでありますが、その範囲はきわめて限定されており、国有林野の貸付、使用の実情に沿わぬうらみもありましたので、今回その特例を開き、実情に合わせたわけであります。この場合にも、国有財産法第二十二条第二項及び第三項を準用いたしまして、当該施設の経営が営利を目的とし、または利益を上げる場合には無償にはできないこととし、当該財産の管理状況をにらんで、契約の解除権を留保してありますので、国有財産法の原則の上に立脚しておることは申すまでもないことであります。
第二に、国有林野を放牧、採草地、ため池、用排水路、林道、農道、その他の農林漁業共同利用施設として、地元の部落または住民の多数が共同して利用する用途に貸し付けまたは使用させる場合に、その対価を時価よりも安く定めることができることとした点であります。もちろんこれは、地元住民の生業の維持または農林漁業経営の安定のため、とくに必要であると認められる場合に限られるわけでありますが。従来貸付使用料が地価を基準として一率に定められることになつておりまして、実情に沿わぬ点があつたのを改めたものであります。財政法第九条の規定によりまして、国有財産は原則として適正な対価なくして貸し付けることができないことになつておりますので、この点は地元住民の生業の維持または農林漁業経営の安定が農山漁村振興上きわめて重要であるのにかんがみ、財政法の原則に対し重要なる特例を開いたものといえるのであります。
第三に、風水害、冷害等の異常かつ広範囲にわたる災害により国有林野の借受人または使用者が貸付、使用料を納付することが著しく困難と認められる場合に当該料金を減免する規定を設けた点であります。この点は、特に昨年の大水害、冷害等の異常災害の経験にかんがみ、社会通念に立脚してこの改正規定を置いたわけであります。
第四に、共用林野につきましては、従来共用者に国有林野の保護義務を課している場合に限り使用の対価を免除する旨の定をすることができる規定がありましたが、今回免除だけでなく、減額することができることに改めますとともに風水害、冷害等の異常災害の場合において、貸付、使用の場合と同様に使用料の減免ができることとした点であります。
最後に、国有林野整備臨時措置法は、本年六月二十三日で失効することになつておりますが、昨年の災害等で事務の進渉も若干遅れておりますので、これらの状況を勘案し、明年三月末日まで、これが有効期限を延長することといたしました次第であります。
この法案の骨子は、大体以上の通りでありますが、農山漁村経済の振興に寄与するため何とぞ慎重御審議の上、一日も早く御可決あらんことを御願い申し上げる次第であります。
第19回国会衆議院農林委員会議録第30号2頁(昭和29年4月14日)〔保利茂農林大臣発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
まず附帯決議案文を朗読いたします。保安林整備臨時措置法案に対する附帯決議政府は本法の目的を速成するため、左記の措置を講ずべきである。記
一本法施行後における運用の実績を徴し、第四条の規定による買入れ措置の強化について検討すること。
二保安林の保安機能を高度に発揮せしめるため、現行森林法につき再検討を加え、もつて恒久的保安林制度の確立を期すること。
三国土保全、災害防除の徹底を期するため、治山施設、造林、林道事業並びに海岸その他の防災造林事業の強化拡充を行うこと。
四国土綜合利用の見地から、林道の利用開発を一段と積極化して本来の機能を充分発揮せしむると共に、併せて開拓事業との関係をも考慮して、これが強化促進に寄与し得るよう更に一層の考慮を払うこと。
五民有保安林を買取る場合、不必要にその個所を拡張する事なく、評価については公正慎重を期し、所有者に不安の念を抱かしめざるよう留意すること。
六森林資源の過伐を防止し、併せて森林の保安的機能の確保に資するため、パルプ用材、抗木、電柱等につき、利用の合理化、未利用資源活用の徹底的強化を期すると共に、止むを得ざる不足分については外材の輸入をし、貿易方式についても検討すること。
法律案に対する附帯決議案国有林野整備臨時措置法の実施に当つて政府は、左記事項に注意して、運用すべきである。記地方公共団体が売り払いを受けた林野は、その地上立木の転売による一時の利益を図るような目的に利用されることなく、地方公共団体の永久の利益となるよう適正な経営がなさるべきで、これがため政府は、地方公共団体の財政事情その他林野の経営能力を充分勘案して適正な売り払いがなされるよう今后厳に留意のこと。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=101901144)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。