売春防止法の一部を改正する法律案
衆議院 法務委員会
昭和33年法律第16号
審議経過
右の数字は会議の発言数参議院法務委員会
提案理由
唐澤俊樹 法務大臣・文部大臣臨時代理 昭和33年2月18日売春防止法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明します。
戦後における世相の混乱と道義の頽廃並びに性道徳の低下によって、売春を行う女子の数が著しく増加し、他面、これに寄生して利益を収奪することを業とする者が増加の傾向にあったことにかんがみ、善良の風俗の維持、保健衛生、女子の基本的人権の確保等の観点からして、第二十四回国会において売春防止法の成立をみるに至ったのであります。当時、国会における同法案の審議に当り、参議院法務委員会において、同法案第五条の罪を犯した女子に対する保安処分の規定を設けること等の決議が行われたことは御承知の通りであります。一方、政府としては、閣議了解のもとに設けられました売春問題対策協議会の昭和三十年九月二日の答申及び同三十一年三月七日総理府に設置されました売春対策審議会の同年四月九日の答申について慎重に検討を続けていたのでありますが、さらに昨年九月十八日売春対策審議会から立法措置に関する適切な意見の具申もありましたので、ここに売春防止法第五条の罪を犯した成年の女子に対する補導処分に関する規定を立案し、売春防止法の一部を改正する法案として提案する運びに至った次第であります。
以下この法律案の要点につき御説明申し上げます。
売春防止法第五条の罪を犯した満二十才以上の女子に対し、その売春の習性を矯正し、社会復帰をはかるために、保安処分としてすでに刑法で認められている保護観察のほかに補導処分なるものを認め、裁判所が自由刑の執行を猶予するとき同時に補導処分の言い渡しをすることができるものといたしております。
補導処分の内容は、婦人補導院に収容して、生活指導等その更生のため必要な補導を行うことといたしております。
婦人補導院への収容期間は六カ月とし、地方更生保護委員会が相当と認めるときは仮退院を許すことができるとともに、仮退院を許された者が順守すべき事項を順守しなかったときは仮退院の取り消しをすることができるものといたしております。
婦人補導院を退院したとき、または仮退院を許された後補導処分の残期間を経過したときは、刑の執行猶予の期間を経過したものとみなすことといたしております。
売春防止法第五条の罪のみについて懲役の言い渡しをし、または刑法第五十四条第一項の規定により売春防止法第五条の罪の刑によって懲役の言い渡しをするときは、刑法第二十五条第二項ただし書きの規定を適用しないこととし、さらに自由刑の執行を猶予して補導処分に付し得ることといたしております。
右に申し述べましたほか、手続上必要な規定を設けております。
最後に、この法律の施行期日についてでありますが、売春防止法の完全実施は来たる昭和三十三年四月一日からでありますので、同日を施行期日とすることにいたしております。
以上が売春防止法の一部を改正する法律案の趣旨であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
第28回国会衆議院法務委員会議録第5号10頁(昭和33年2月18日)〔唐澤俊樹法務大臣発言・発言番号84〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
売春防止法(本改正案を含む。)の立法趣旨にかんがみ、政府は、裁判所等の意見をさんしやくして、補導処分制度の運用に関し、可及的速かに、裁判所調査官制度を調査、検討すべきである。右決議する。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=102801050)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。