郵便法の一部を改正する法律案
参議院 逓信委員会
昭和36年法律第93号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院逓信委員会
- S36.3.1趣旨説明逓信委員会 786
- S36.4.21質疑逓信委員会 22181
- S36.4.24参考人招致逓信委員会 2329
- S36.4.25質疑逓信委員会 24241
- S36.4.26質疑・修正案趣旨説明・修正案・討論・採決(修正)逓信委員会 25361
- S36.4.27修正案・委員長報告・討論・採決(修正)本会議 3432
提案理由
小金義照 郵政大臣 昭和36年3月1日ただいま議題となりました郵便法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
この法律案は、郵便事業の運営に要する財源を確保するため、郵便に関する料金について調整を行なうとともに、事業の合理的な運営とサービスの改善のため、所要の規定の改正を行なわんとするものであります。
まず、郵便に関する料金の調整について申し上げます。
現行の郵便料金は、昭和二十六年十一月の改正以来、昭和二十八年七月に小包料金の値上げをしたほか、約十年間そのまま据え置かれてきたものでありますが、近年郵便物特に原価を償わない低料金のものが激増して、その処理要員の大幅な増加、運送費等の増加、局舎施設の整備拡充等のため、事業財政はきわめて苦しくなって参りまして、昭和三十六年度以降には相当の赤字が予想されるに至りました。また、国民の通信需要に対応するサービスの向上、業務の正常な運行の確保、事業の近代化推進等のための経費の増加も考慮する必要がございます。そこでこの際、郵便料金について所要の調整を行ない、事業収支の健全化をはかろうとするものでございます。
調整の方針といたしまして、適正な料金ということを主眼とし、かつ国民生活並びに物価に対する影響等を十分考慮することといたしております。その具体的な内容を申し上げますと、国民生活に最も影響の大きい手紙とはがき、すなわち、第一種、第二種の郵便物の料金の値上げを行なわず、通信教育刑や農産種苗等の郵便物についてもこの料金を据え置きとし、また、盲人用点字等の郵便は無料とすることとし、値上げを考えましたのは、従来著しく低料金であった新聞等の定期刊行物を内容とする第三種郵便物及びいわゆるダイレクト・メール等に利用されている第五種郵便物であります。すなわち、第三種郵便物におきましては、従来一円でありましたものを二円に、従来四円でありましたものを六円に、また第五種郵便物におきましては、従来百グラムまで八円というのを五十グラムまで十円に、市内特別の取り扱いをする場合に従来百グラムまですべて五円であったものを五十グラム刻みにして八円と改めようとするものであります。書留、速達等の特殊取り扱いの料金も、十円程度引き上げようとしております。
小包郵便物の料金につきましては、この業務が信書送達の業務に付帯する性質のものと考えられ、かつ国鉄その他の運送業と並行的な立場にあるという事情等をも考慮いたしまして、小包郵便物の送達及び郵便事業の原価、国鉄小口扱い貨物運賃等、他の運送業における料金、物価その他の経済事情を参酌いたしまして、これを政令で定めようとするものであります。なお、第三種郵便物の認可料等につきましては、これを省令で定めることといたしたいと存じます。
次に、この法律案におきましては、高層建築物に対する郵便配達上の困難を救済するため、階数が三以上のもので特に困難なものについて、一階出入口付近に郵便受箱を設けていただき、御協力を得ようとするものであります。ただし、既存の建築物や現に工事進行中のものについてまでもこれを法律で要望するのはいささか安当ではないと考えまして、これらについては、当分の間適用を除外しようといたしております。また、単に要望するだけあるいは要求するだけというのもいささか適当ではないと考えられますので、この法律施行後三年間は、既存の建築物を含めまして、これらの建築物の所有者に対して、国が郵便受箱を時価よりも低い対価で譲り渡すことができるということを規定いたしております。
第三に、この法律案におきまして、郵便物の取り扱いを容易にするため、その大きさの最小限を定め、また、第三種から第五種までの郵便物の最高重量を、従来の千二百グラムから一キログラムに引き下げようとしております。
第四は、郵便物の転送に関する改正でございます。最近のように郵便物が激増して参りますと、転居先の調査等が非常に困難となり、転送できなかったり、おくれたりして不測の御迷惑をかけるととも考えられますので、転居届を出していただくことによって転送を確実に行なうよう配慮するとともに、その届け出の有効期間を一年内に限ろうといたしております。また一年たってお出し下さればその一年間有効、またそういう届出がなくても、サービスの低下することなく、わかるところは転送をいたすのは従前の通りでございます。
第五は、現金その他の貴重品は、書留としなければ郵便物にできないという改正であります。最近硬貨の流通が増加して参りまして、脱落等の事故が起こりやすく、またこれらのものを普通取り扱いの郵便物といたしますると、貴重品の亡失等の事故がありましても、そもそも郵便物として差し出されたものかどうかという認定すら困難でありまして、ひいては事故がなかった場合にも、職場内に不安や疑心を起こさせるおそれもありますので、この際、現金等を内容とする郵便物の普通取り扱いをやめようとするものであります。
第六は、非常災害の場合には、被災者に対しましてはがき等を無償で交付することができるようにしようとするものであります。災害のため財産を失い、料金のみならず用紙、紙類もないという場合がありますので、被災者等に対して無償ではがき等を差し上げようとするものであります。
第七は、料金受取人払いの制度を拡大しようとするものであります。従来一書状とはがきに限っていたこの制度を通常郵便物一般に広げるとともに、料金の後払いを認める等のことを内容と
いたしております。
第八は、市内特別郵便物の利用条件に関する改正でありまして、その取り扱い区域を同一郵便局の集配区内または六大都市の同一区内に限る等のことを内容といたしております。
以上のほか、この法律案におきまし
ては、年賀はがきの差出期間を省令で定めるところにゆだね、料金後払いの場台の担保免除の特別法人の指定も同様とする等、多少の改正を織り込んでおります。
なお、この法律案の施行期日は、周知その他の準備もありますので、本年の七月一日を予定しております。
以上提案理由及び法案の概要を申し上げましたが、ここで国民の皆様に多大の御迷惑をおかけしておりまする一部の郵便局における郵便遅配の現象に
つきまして、衷心から遺憾の意を表明させていただきますとともに、今般の料金調整により事業収支の健全化を行ない得ますのを一つの契機といたしまして、抜本的な対策を確立し、一日も早く遅配を解消する決意を披瀝させていただきます。
何とぞ慎重御審議の上、これまたすみやかに御可決賜わりますようお願いを申し上げます。
第38回国会衆議院逓信委員会議録第7号6頁(昭和36年3月1日)〔小金義照郵政大臣発言・発言番号4〕 会議録 国会会議録検索システム
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=103801090)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。