日本原子力船開発事業団法案
参議院 科学技術振興対策特別委員会
昭和38年法律第100号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院科学技術振興対策特別委員会
- S38.2.20趣旨説明・質疑科学技術振興対策特別委員会 552
- S38.2.27質疑科学技術振興対策特別委員会 758
- S38.2.28質疑科学技術振興対策特別委員会 896
- S38.3.6参考人招致・質疑科学技術振興対策特別委員会 9121
- S38.3.7質疑科学技術振興対策特別委員会 1059
- S38.3.28質疑科学技術振興対策特別委員会 11360
- S38.5.16質疑・採決・附帯決議科学技術振興対策特別委員会 1298
- S38.5.17委員長報告・採決・附帯決議本会議 2442
参議院科学技術振興対策特別委員会
- S38.2.28趣旨説明科学技術振興対策特別委員会 389
- S38.3.14質疑科学技術振興対策特別委員会 473
- S38.3.19質疑科学技術振興対策特別委員会 582
- S38.3.28質疑科学技術振興対策特別委員会 691
- S38.5.22質疑科学技術振興対策特別委員会 7116
- S38.5.24質疑科学技術振興対策特別委員会 881
- S38.5.29質疑科学技術振興対策特別委員会 996
- S38.5.31質疑・附帯決議・採決科学技術振興対策特別委員会 10107
- S38.6.5附帯決議・委員長報告・採決本会議 2354
提案理由
近藤鶴代 科学技術庁長官 昭和38年2月20日ただいま議題となりました日本原子力船開発事業団法案につきまして、提案理由を御説明いたします。
わが国が、原子力を人類社会の福祉と国民生活の水準向上のために利用する目的でその研究開発に着手してより、すでに七年余の歳月をけみしております。その間、関係者の努力の結果、すでに国産第一号炉の完成を見、また発電第一号炉の建設が着々と進められているなど、その成果はまことに見るべきものがございます。
この間、原子力を船舶の動力として利用することにつきましては、わが国は、世界第一の造船国として、また有数の海運国として、ことに深い関心を持ち、昭和三十二年以降研究を進めて参りましたが、ようやくその成果を実際に適用してみる自信を得るに至りました。
一方、目を世界に転じますと、船舶に対する原子力の平和利用は、米国のサバンナ号、ソ連のレーニン号の二隻の成功を契機として、とみに促進され、その他の国においても、西独を初め次々に原子力船の開発計画が進められております。
原子力委員会におきましては、これら内外の事情にかんがみ、来たるべき原子力船時代に備えて、その研究の飛躍的な促進をはかるための効果的な方策について慎重に検討した結果、この際、研究開発を目的として原子力第一船を建造することが必要であるという結論に達しました。すなわち、わが国産業界に、実際に原子力船を建造し、これを運航する体験を得させることが、わが国における原子力船に関する技術を飛躍的に高め、その実用化をはかる最善の道であると考えた次第であります。このために建造する原子力第一船としては、総トン数約六千トンの海洋観測船が適当とされ、その設計、建造、運航及び乗組員の養成訓練のためには、九年の日子と約六十億円の資金とが必要と見込まれております。
政府といたしましては、原子力委員会のこの方策をきわめて妥当なものと考え、昭和三十八年度より原子力第一船の開発に着手することを決定した次第でございます。このため必要な経費につきましては、別途昭和三十八年度予算案に計上いたしましたが、この開発を行なう機関といたしましては、人材、資金の両面において、政府及び民間のきわめて緊密なる協力を必要とすること並びにその国家的事業たる意義から見て政府の監督のもとに置く必要のあること等の理由により、日本原子力船開発事業団を設立することといたしました。
以上が、本法案を提案するに至りました趣旨でございますが、本事業団の事業は、平和の目的に限られることはもちろん、本事業団の運営にあたりましては、原子力基本法の精神にのっとりこれを行なうことは申すまでもございません。
次に、本法案の概要を御説明いたします。
第一に、本事業団の設立の目的は、原子力基本法の精神にのっとり、原子力船の開発を行ない、もってわが国における原子力の利用の促進並びに造船及び海運の発達に寄与することにあります。
第二に、木事業団は、政府及び民間の共同出資の法人でありまして、その当初資本金は、三十八年度に予定されている政府出資一億円と民間出資予定額約五千万円の合計約一億五千万円でございます。
第三に、本事業団の役員は、理事長、専務理事各一人、理事三人以内及び監事一人であります。理事長及び監事は、主務大臣が原子力委員会の意見を聞いて任命し、専務理事及び理事は、理事長が主務大臣の認可を受けて任命することとしております。
第四に、本事業団に、業務の運営に関する重要事項に参画させるため、顧問を置くこととしております。顧問は、学識経験者のうちから、主務大臣の認可を受けて、理事長が任命いたします。
第五に、本事業団の業務は、原子力船の設計、建造及び運航を行なうこと、乗組員の養成訓練を行なうこと、これらの業務に関する調査研究、成果の普及を行なうこと等であります。
第六に、本事業団の業務の運営は、原子力委員会の決定を尊重して主務大臣が定める基本計画に基づいて行ないます。
第七に、本事業団は、主務大臣として、内閣総理大臣及び運輸大臣が監督いたします。
第八に、本法は、昭和四十七三月三十一日までに廃止するものとしております。
最後に、本事業団に対しては、登録税、所得税、法人税及び地方税について税制上の優遇措置をとっております。
以上、本法案の提案理由及びその内容に関する概要の御説明を申し上げました。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことを切望する次第でございます。
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第43回国会衆議院科学技術振興対策特別委員会議録第5号4頁(昭和38年2月20日)〔近藤鶴代科学技術庁長官発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
最初に趣旨の説明を申し上げたいと思います。ただいま採決せられましたように、われわれといたしましては、原子力基本法第二条、平和利用の原則にのっとりまして、その平和利用の一つである原子力船の開発を積極的に推進していこうということにつきましては、心から賛成をいたしておるところでございます。ただ問題は、今回の日本原子力船開発事業団法案が、不幸なことに原子力潜水艦の寄港問題と同時に問題になったことを、私どもは非常に遺憾に存ずるわけでございます。しかし、ただいま池田内閣総理大臣あるいは志賀防衛庁長官、大平外務大臣が本委員会に出席をせられまして、特に池田総理から、かつて予算委員会で言明をせられました、原子力船の開発と原子力潜水艦の寄港問題があたかも相関連するかのごとき言明につきましては、明確に、原子力船の開発と潜水艦の寄港問題は別個の問題であるという点が明らかにせられましたし、また志賀防衛庁長官からは、中国の核実験と原子力船の開発とはそこに何らの因果関係があるものではなく、別個な問題であるということも明らかにせられたわけであります。したがいまして、私どもはこの今後九年間にわたりまして開発せられますところの原子力船につきましては、あくまでも原子力基本法第二条の平和利用の原則にのっとって、厳格にそれが順守せらるべきことを特に要求をいたしたいと思うのであります。二番目に、自主、公開、民主の問題でございますが、これは当然のお話であります。そうして、さらに動力炉の開発にあたりましては、外国から安易に動力炉を購入してきてそのまま据えつけるということではなしに、あくまでも国産技術の活用にその重点を注がれることを、これまた希望いたしたいと思うのであります。最後に、三番目の安全性の問題でございますけれども、ただいま科学技術庁を代表いたしまして、次官、局長あるいは原子力委員の方から御答弁がございましたが、特に学者の方々が懸念をいたしておりますのは、陸上の原子炉と船の推進に使いますところの動力炉、これが何か切り離して考えられておるようなことでは困る。そうではなくて、少なくとも現在日本にありますところの原子炉規制法によるところの環境に対する立地条件、安全対策、こういうものについてはやはりきびしい安全審査が必要である。特に原子力船につきましては、数万キロワットというような大きな原子炉を利用する問題でございまして、その安全性は特に重視をされるべきものと考えます。さらに、海難事故等の問題につきましては、コンテナーの堅固なものを用いていかなければならぬことは当然でございましょうし、また、死の灰といわれる核分裂生成物質につきましても、日本におきましてはICRPの勧告よりもきびしい、その十分の一の許容量というようなきびしい基準を持った放射線障害防止法もあるわけでございます。このような基準をあくまでも尊重いたしまして、そうして原子力船の開発をやっていく、御答弁非常にけっこうであると思います。やはり動力炉につきましても、このような厳格な規制が必要であると思いますし、同時にこれはすべての日本に立ち寄ろうとするところの原子力船、これについても適用されるべきものであるとわれわれは考えるところであります。したがって、特にこの安全性の確保の問題につきましては、この法案の実施にあたりまして特に強く要望を申し上げたいところでございます。このような理由をもちまして附帯決議案を提案をいたしたいと思います。朗読をいたします。日本原子力船開発事業団法案に対する附帯決議(案)政府は、日本原子力船開発事業団法の施行にあたっては、左記諸点を厳守し、実施に遺憾なきを期すべきである。記
一原子力船の開発利用は、あくまで、原子力基本法第二条に示された平和目的に限られるべきものであること。
二開発計画の実施にあたっては、民主、自主、公開の三原則にのっとるとともに、特に動力炉については、国産技術を活用すること。
三原子力船の安全性の確保については、陸上の原子炉施設の場合と同様慎重に扱い、またその運航についても万全を期すること。
日本原子力船開発事業団法の施行にあたって、政府は、次の事項に関し、特に配慮すべきである。
一原子力船の開発、利用は、あくまで平和目的に限られるべきものであること。
二原子力船の建造には、極力国産技術を活用すること。
三原子力船の安全性の確保については勿論、第三者に災害を及ぼさないよう万全を期すること。
四原子力開発利用の重要性にかんがみ、事業団の人的構成については、その設立の趣旨に沿うよう特に慎重を期すること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=104301082)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。