建築基準法の一部を改正する法律案
衆議院 建設委員会
昭和45年法律第109号
審議経過
右の数字は会議の発言数参議院建設委員会
衆議院建設委員会
- S45.4.18趣旨説明建設委員会 13136
- S45.5.11質疑建設委員会 17250
- S45.5.12質疑・採決・附帯決議建設委員会 18225
- S45.5.13委員長報告・採決・附帯決議本会議 2835
提案理由
根本龍太郎 建設大臣・近畿圏整備長官・中部圏開発整備長官・首都圏整備委員会委員長 昭和45年3月5日ただいま議題となりました建築基準法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。
建築基準法は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する基準を定めたものでありますが、法制定以来二十年近くを経過し、その間の社会情勢の変化、建築技術の進歩等により実情に沿わない点も生じてまいりましたので、次のような事項について改正を行なおうとするものであります。
第一に、都市における建築物の用途の純化と土地の高度利用の促進に関することであります。
建築物の用途の規制につきましては、都市の秩序ある発展に資するため、住環境の保護の強化を主眼として用途地域の純化をはかることといたしました。すなわち、低層住宅地としての良好な環境を維持するための第一種住居専用地域、中高層住宅地としての良好な環境を維持するための第二種住居専用地域、近隣住宅地のための日用品店舗が立地する地域としての近隣商業地域等を新たに設けることといたしました。また、住居地域においては、特殊浴場を排除するとともに、公害を伴う工場の制限を強化することといたしました。
建築物の形態の規制につきましては、土地の合理的な高度利用をはかるため、建築物の高さの制限を原則として廃止し、これにかえてそれぞれの用途地域の特性に応じた容積率による制限とすることといたしました。さらに、第一種住居専用地域及び第二種住居専用地域においては、新たに北側隣地の建築物の日照、採光、通風等を考慮した高さに関する斜線制限を設けることとしております。また、都市における建築物の敷地が狭小化している実情にかんがみ、現行の建ぺい率の制限を緩和することといたしました。
第二に、建築物の防災基準に関することであります。
最近相次いで発生した旅館、ホテル等の火災による人身事故の実情にかんがみ、室内の仕上げ材料を制限する建築物の範囲を拡大するとともに、火災が発生した場合の避難及び消火が円滑に行なえるよう、新たに排煙設備、非常用照明装置及び非常用進入口の設置基準を設けることとしております。また、三十一メートルをこえる高層建築物には、新たに非常用昇降機の設置を義務づけることといたしました。
第三に、執行体制の整備に関することであります。
まず、建築基準行政の適正な執行を確保するため、人口が二十五万以上の市は建築主事を置かなければならないこととするとともに、その他の市または町村においては、知事と協議の上、建築物全般に関する事務または小規模な建築物のみに関する事務について、これを執行させるため、建築主事を置くことができることといたしました。
次に、違反建築の取り締まりを効果的に行なうため新たに建築監視員の制度を設け、管内を巡回して違反建築物を早期に発見し、これに対し工事の施工の停止等を命ずる権限を行なわせることとするほか、違反是正を命じた場合には現場に標識を設置する等によりその旨を公示する制度を設けることといたしました。さらに、違反建築物に対して行政代執行をするための特別の規定を設け、また、建築主事、建築監視員等がその権限を行使する場合には、建築物の所有者、工事の施工者等に対して必要な事項について質問することができることとするとともに、違反是正命令にかかる建築物の設計者、工事の請負人等については、これらを監視する行政庁にその住所氏名等を通知するものとし、通知を受けた監督行政庁は免許の取り消し、営業の停止等の所要の措置を講ずるものといたしました。
第四に、この改正に伴って都市計画法等の一部を改めるとともに、この法律の施行に必要な経過措置を定めることといたしております。
以上が、この法律案の提案の理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決くださるようお願い申し上げます。
第63回国会参議院建設委員会会議録第4号1頁(昭和45年3月5日)〔根本龍太郎建設大臣発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム
立法資料のある条文
この法律案の審議で取り上げられた条(政府答弁の件数順)附帯決議
都市化の急激な進展に伴い、過密地域における既成市街地の生活環境が著しく悪化しつつある現状にかんがみ、政府は都市施設の整備を積極的に行なうとともに、次の点について運用に遺憾なきを期すべきである。
一建築監視員等の質問権の対象となる「工事の施工者」の範囲については、施工の権限を代行する者を含むものであることを周知徹底せしめ、本制度の実効を期すること。
二違法建築物により被害を受けている者の通報及び違反の有無等について近隣者からの調査依頼に対して、特定行政庁が速やかに適切な措置を講ずるよう指導すること。
三特定行政庁の不作為又は特定行政庁等が課した不作為義務の不履行によつて被害を受ける者の行政法上の救済措置について、速やかに検討すること。
御承知のごとく、建築基準法は都市計画法その他都市関連法とともに、われわれ国民が良好な生活環境を保持するため等に、きわめて重要な法律であります。ただいま議決されました改正案は、関係都市法とともに、都市における土地の合理的な高度利用及び秩序ある発展をはかるための措置として、まさに時宜に適したものと考える次第であります。しかし、これらの改正内容をさらに実効あるものにするため、政府は、法の施行にあたり、次の諸点につきまして必要な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきことを強く要望してやまないものであります。すなわちその第一点は、違反建築物に対する措置を強力に講じて、その絶滅を期するため、告発及び行政代執行の徹底、建築士、建設業者、宅地建物取引業者等の建築関係業者に対する厳正な監督処分、電気、水道、ガスの供給停止を行なうことであります。第二点は、執行体制の整備強化をはかるため、建築関係職員の人員及び予算の確保についての特段の配慮、職員研修制度の拡充強化により職権乱用の戒めをすることであります。第三点は、積極的な行政指導、技術指導により、日照、通風等、良好な環境実現の方途を提示し、住民の自発的協力を強化することであります。第四点は、住民と密着した建築行政とするため、執行権限をできるだけ市町村に委譲するよう指導するとともに、政令の制定等改正法の施行にあたっては、条例に委任するなどの方法により、自治体の実情を生かした運営ができるよう配慮することであります。第五点は、都市環境を良好にするため、用途地域に関する都市計画を決定するにあたっては、原則として公聴会を開くなどして、住民の意見を反映させることであります。第六点は、都市環境の抜本的改善をはかるため、著しく立ちおくれている地価、宅地、住宅対策等及び共同利用施設として、公園、緑地、広場、遊び場、運動施設等の空間確保について格段の努力をすることであります。以上が建築基準法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨でありますが、委員各位の御賛成をお願いいたしまして、説明を終わります。—————————————建築基準法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)都市化が急激に進展しつつある今日、住みよい街づくりを進めるために、政府は、本法の施行に当つて左の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。
一違反建築物に対しては次の措置を強力に講じて、その絶滅を期すること。(一) 告発及び行政代執行の徹底(二) 建築士、建設業者、宅地建物取引業者等の建築関係業者に対する厳正な監督処分(三) 電気・水道・ガスの供給停止
二執行体制の整備強化を図るため、建築関係職員、建築監視員の人員及び予算の確保について特段の配慮をするとともに、これらの職員の研修制度を拡充強化し、職権の濫用をいましめ、適正な建築行政の執行を期すること。
三改正法の運用に当つては、単に住宅環境の悪化を追認するにとどまるが如きことのないように、積極的な行政指導、技術的指導により、日照、通風等良好な環境実現の方途を提示し、住民の自発的協力を強化すること。
四住民の密着した建築行政とするため、執行権限をできるだけ市町村に委譲するよう指導するとともに、政令の制定等改正法の施行にあたつては、条例に委任するなどの方法により自治体の実情を活かした運営ができるよう配慮すること。
五都市環境を良好にするために、都市計画法により用途地域に関する都市計画を決定するに当つては、原則として公聴会を開く等して住民の意見を反映させるようにすること。
六都市環境の抜本的改善をはかるため、著るしく立ち遅れている共同利用施設として、公園・緑地・広場・遊び場・運動施設等の空間確保について、格段の協力をすること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=106301033)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。