タクシー業務適正化臨時措置法案
参議院 運輸委員会
昭和45年法律第75号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院運輸委員会
- S45.4.7趣旨説明・質疑運輸委員会 1651
- S45.4.8質疑運輸委員会 17246
- S45.4.10質疑運輸委員会 18136
- S45.4.17参考人招致・採決・附帯決議運輸委員会 19103
- S45.4.17委員長報告・採決・附帯決議本会議 2078
参議院運輸委員会
- S45.4.27趣旨説明運輸委員会 13297
- S45.4.28質疑運輸委員会 14198
- S45.5.6質疑・採決・附帯決議運輸委員会 15179
- S45.5.8附帯決議・委員長報告・採決本会議 1573
提案理由
橋本登美三郎 運輸大臣 昭和45年4月7日提案理由の説明を申し上げる前に、御礼のことばを申し上げたいと存じます。
今回の事件に関しまして、当運輸委員会の皆さん並びに国会全体、各党がこぞってご支援、御激励、ご協力くださいましたことを厚く御礼を申し上げます。いろいろ不手ぎわなところがありましたけれども、山村政務次官の勇気ある行動によって、とにかく人命全体が無事に救出をせられ、かつまた関係各国の非常なお世話によりまして、円満といいましょうか、まあ満足すべき解決ができましたことは、ひとえに関係各国の御協力及び皆さまの御支援の結果でありまして、厚く御礼を申し上げます。
ただいま議題となりましたタクシー業務適正化臨時措置法案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
わが国の経済成長に伴う産業構造の高度化は、企業の管理中枢機構、情報部門等の都市集中をもたらし、都市人口の増加を招いております。
このような都市人口の増加は、企業活動の活発化と相まって都市交通需要の急激な増加となってあらわれ、御承知のように、都市交通に関して種種の問題を惹起いたしております。
中でもタクシーはその機動性、迅速性、随時性等が近代的経済活動の要求に合致しており、さらに所得水準の向上に伴いタクシー利用者層が拡大し、その利用回数も急激に増加しており、今日では大衆交通機関として国民の日常生活に密着したものとなっておりますが、ここ数年来東京等の大都市におけるタクシー輸送につきましては乗車拒否をはじめとする違法行為が頻発し、そのサービスの低下が社会的問題となっております。
このような事態は、本来タクシー事業者の責任とタクシー輸送に従事する運転者の自覚によって是正されるべきであると考えますが、タクシー輸送の都市における国民生活に占める役割の重要性にかんがみ、政府といたしましても早急に改善のための措置をとるべきであると判断いたした次第でございます。
このため、昨年タクシー輸送サービスの改善に関する総合的対策を樹立し、これに従って諸種の施策を実施に移しているところでありますが、さらにタクシーの運転者の確保が困難であるためタクシーの輸送力が需要量に対し著しく不足しており、かつ、乗車拒否等の違反行為がひんぱんに行なわれる等タクシー事業の業務が適正に行なわれていないと認められる地域においてタクシー業務の適正化をはかるためには、当分の間法律上の措置により悪質運転者を排除する等の必要があると判断し、ここに本法案を提出することといたした次第であります。
この法律案のおもな内容は次のとおりであります。
第一に、前述しましたようなタクシー業務が適正に行なわれていない地域を指定地域として政令で指定いたしましてその地域内のタクシー運転者の登録を行ない、登録にあたっては道路運送法に定める要件を備えていない場合等にはこれを拒否することとし、運輸大臣は、乗車拒否等違反行為をした運転者の登録を取り消し、二年以内の登録禁止期間を設ける等の措置をとることができることといたしております。
この場合において指定地域内のタクシー事業者は、タクシーに登録運転者以外の者を乗務させてはならないこととするとともに、登録運転者を乗務させる場合には登録タクシー運転者証を表示しておかなければならないことといたしております。
なお、登録等の事務は、登録の取り消し等にかかる処分を除き、一定の基準に適合する財団法人を指定して、これに行なわせることができることといたしております。
第二に、指定地域においては、運輸大臣は、街頭指導、研修、苦情処理、タクシー乗り場及びタクシー運転者の共同休憩施設の設置運営等一定の業務を行なう財団法人を指定して、これらの業務の遂行に必要な経費を当該地域内のタクシー事業者から負担金として徴収させることができることといたしております。
その他、指定地域にあっては駅前、繁華街等において時間を限ってタクシー乗り場以外でのタクシーへの乗車を禁止する制度、研修命令制度等を設けることといたしております。
以上がこの法律案を提案する理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
続いて、ただいま議題となりました港則法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
この法律案は、鹿島、内浦、会津及び喜入の各港におきまして、港湾施設が整備されたのに伴い船舶交通がふくそうしてまいったことなどの事情から、これらの港に港則法を適用し、船舶交通の安全と危険物による災害の防止をはかる必要が生じましたので、同法の別表を改正しようとするものであります。
改正を必要とするおもな事情を述べますと、
第一に、鹿島港につきましては、港湾施設の整備の進捗に伴い各種企業が進出し、大型タンカーをはじめとする多数の船舶の入出港が予想されますので、港内における船舶交通の安全を確保し、あわせて危険物による災害を防止するため、港則法による規制を行なう必要が生じたことであります。
第二に、内浦港につきましては、貯木場の完成に伴い、大型の木材専用船が入出港するようになり、そのほか各種船舶の入出港も増加しておりますので、港内における船舶交通の安全を確保するため、港則法による規制を行なう必要が生じたことであります。
第三に、合津港につきましては、天草上島と前島にはさまれた赤松の瀬戸に位置する狭隘な港である同港に、天草五橋の開通以来、多数の船舶が入出港するようになりましたので、港内における船舶交通の安全を確保するため、港則法による規制を行う必要が生じたことであります。
第四に、喜入港につきましては、石油中継基地の稼働に伴い、超大型タンカー及び多数の内航タンカーが入出港するようになり、膨大な量の危険物が取り扱われるようになりましたので、港内における船舶交通の安全を確保し、あわせて危険物による災害を防止するため、港則法による規制を行なう必要が生じたことであります。
以上がこの法律案を提案する理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
次に、ただいま議題となりました地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、海運局の支局の設置に関し承認を求めるの件の提案理由につきまして御説明申し上げます。
この案件は、最近、出入港船舶が激増しております茨城県鹿島港に関東海運局鹿島支局を設置しようとするものであります。
鹿島港は、工業整備特別地域に指定された鹿島臨海工業地帯の拠点として、昭和五十年度を目途に、年間入港船舶一万七千隻、最大船舶二十万トン、取り扱い貨物量六千万トンを対象とした工業港として計画され、開発の途上にあります。同地域には、鉄鋼、石油、機械、セメント、食品、飼料等の工場が建設されておりまして、一部の企業はすでに操業を開始しており、残りの企業も昭和四十六年までには操業を開始することとなっております。
鹿島港における昭和四十四年の入港船舶は百三十三万総トン、取り扱い貨物量は二百十五万トンに達しておりますが、今後の港湾開発の進捗に伴い、ますます大型船の入港が激増するとともに、取り扱い貨物量が増加するものと思われます。
このような鹿島港の港勢の進展につれて海上運送事業者、港湾運送事業者、倉庫業者等の海事関係業者が新たに進出し、その事業活動が活発化しておりますので、海事に関する行政手続の利便をはかるとともに、海事行政の円滑な運営を確保するため、同港に海運局の支局を設置する必要が生じてまいったのであります。
以上の理由によりまして、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、海運局の支局の設置に関し、国会の御承認を求める次第であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御承認いただきますようお願い申し上げます。
第63回国会衆議院運輸委員会議録第16号13頁(昭和45年4月7日)〔橋本登美三郎運輸大臣発言・発言番号18〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
一タクシー運転者の登録制度の実施に当たっては、転職の自由その他運転者の利益が不当に侵害されぬよう配慮すること。
二タクシー事業者に対しても本法及び道路運送法の違反事項について監督行政を強化すること。
三適正化事業実施機関の業務が公正かつ円滑に行なわれるよう諮問委員会の構成その他について特段の配慮を加えること。
四タクシー運転者の質的量的な確保を図るため、所要の措置を講ずること。
五負担金の額及び徴収方法については、実情に応ずるよう十分の考慮を払うこと。
六タクシー業務適正化のため引き続き助成措置を講ずること。
本法の施行にあたって、政府は、特に左の事項に留意し、その運用に万遺憾なきょう措置すべきである。
一乗車拒否その他利用者の不満を一掃するため、タクシー業務の適正化を図り、交通関係及び物価等対策閣僚協議会の決定(昭和四十四年十一月二十一日)並びに労働省通達(昭和四十二年二月九日)の完全実施に務め、特に労務管理の近代化、賃金制度の改善等適切なる措置を講ずること。
二登録制度の実施に当っては、個々の運転者の権利が侵害されることのないよう格段の配慮を行ない、近代化センターの民主的運営に努めること。
三本法並びに道路運送法、労働基準法等関係法令違反の悪質事業者に対し、免許の取消をも含め、厳重なる処分を行なうこと。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=106301103)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。