特定繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正する法律案
衆議院 商工委員会
昭和49年法律第58号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院商工委員会
- S49.2.27趣旨説明商工委員会 12149
- S49.4.3質疑商工委員会 24213
- S49.4.24質疑商工委員会 29286
- S49.5.7参考人招致商工委員会 3172
- S49.5.8質疑・採決・附帯決議商工委員会 32183
- S49.5.9採決・委員長報告・附帯決議本会議 2925
参議院商工委員会
- S49.5.9趣旨説明・補足説明商工委員会 13112
- S49.5.14参考人招致商工委員会 1470
- S49.5.16質疑・採決・附帯決議商工委員会 15164
- S49.5.17採決・委員長報告本会議 2265
- S49.6.18附帯決議本会議 1
提案理由
中曽根康弘 通商産業大臣 昭和49年2月27日次に、特定繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
繊維工業につきましては、これまで特定繊維工業構造改善臨時措置法に基づきまして、紡績業及び織布業につきましては昭和四十二年度から、メリヤス製造業及び染色整理業につきましては昭和四十四年度から、設備の近代化、過剰設備の処理、生産または経営の規模の適正化等を目的とする構造改善事業を実施してまいりました。
この間これらの業種における構造改善は、設備の近代化、過剰設備の処理等の面においてはかなりの成果をあげてまいりましたが、繊維工業全体を見ますと、なお、企業数の過多及び企業規模の過小の事態が依然として解消していないこと、また、紡績から縫製等の最終製品の製造加工に至るまでの製造加工工程が長く、かつ、それらの各工程が別々の業種によってになわれているため、消費者情報が各製造加工工程の商品生産に十分反映されず、消費者のニーズに即応した商品を供給するための体制が整備されていないという構造上の問題点を内包しております。
加えて、最近のわが国の繊維工業をめぐる内外の環境は、まことにきびしいものがあります。すなわち、国際的には、東南アジア諸国を中心とする発展途上国の繊維工業の急速な成長により、わが国繊維工業の国際競争力は急速に低下しております。また、国内におきましては、労働力需給の逼迫による労働力不足、賃金の急上昇等によるコストの上昇等の諸問題に直面しているとともに、繊維製品に対する需要動向の変化に対する迅速な対応を求められております。
繊維工業のかかる事態に対処して、繊維工業について、その内包している構造上の問題点を早急に解消するとともに、合理的な国際分業を推進し得る十分な競争力を持った発展性のある産業として育成することは国民経済的な要請であると考えますが、そのためには、従来のような紡績、織布等の業種別の構造改善を推進するのみでは必ずしも十分とは申せません。したがいまして、’政府といたしましては、昨年十一月の繊維工業審議会及び産業構造審議会の答申の趣旨を尊重して、昭和四十九年度から昭和五十三年度までの間、従来の同業種間の連携に加え、紡績、織布、染色整理、縫製等の異業種に属する企業間の有機的連携による新商品または新技術の開発の促進等を内容とする新しい構造改善事業を推進することとし、これにより、付加価値の高い商品の生産を増大し、織維工業の知識集約化をはかることといたしました。
この新しい構造改善対策は、昭和四十九年度から昭和五十三年度までの間行なうこととしておりますが、その実施に必要な制度を整備するため、このたび、この法律案を提案いたした次第であります。
次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。
第一は、法律の対象とする業種を従来の特定紡績業、特定織布業、メリヤス製造業、特定染色業の四業種から繊維工業全体に拡大することであります。なおこれに伴い、法律の題名を繊維工業構造改善臨時措置法に改めることとしております。
第二は通商産業大臣が、繊維工業の構造改善をはかるための繊維事業者に対する基本指針を定めるとともに、従来の特定繊維工業の構造改善に関する規定を改め、繊維工業に属する事業を行なう者が、紡績、織布、染色整理、縫製等の各業種のうち他の業種に属する事業を行なう者と連携して、または二以上の業種に属する事業を行なう組合が単独で、新商品または新技術の開発、設備の近代化、生産または経営の規模または、方式の適正化等の構造改善に関する事業を行なおうとするときは、構造改善事業計算を作成し、通商産業大臣の承認を受けることができるものとしたことであります。
第三は、構造改善事業の推進に必要な助成措置を設けたことであります。つまり、構造改善事業計画に従って構造改善事業を行なう者に対しては金融税制上の助成措置を講ずるほか、通商産業大臣が繊維事業者等に対し必要に応じ指導及び助言を行なうこととしております。また、これらの施策を講ずるにあたっては、小規模繊維事業者に対して特別の配慮をすることとしております。
第四は、経済的事情の変化により事業活動に支障を生じている繊維事業者から事業の転換の申し出があったときは、通商産業大臣が必要な指導及び援助を行なうこととしたことであります。
第五は、繊維工業構造改善事業協会の業務について、新しい構造改善事業の対象業種が繊維工業の全業種に拡大されたことに伴い、債務の保証の対象を繊維工業に属する事業にかかる構造改善事業に拡大するとともに、繊維事業者に対する技術指導に関する業務及び繊維製品に関する情報の収集、処理、提供の業務を追加し、設備の処理に関する業務を削ることであります。
第六は、新しい構造改善対策の実施期間にあわせて、法律の廃止期限を昭和五十四年六月三十日までに五年間延長することであります。
以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。
何とぞ慎重に御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
第72回国会衆議院商工委員会議録第12号6頁(昭和49年2月27日)〔中曽根康弘通商産業大臣発言・発言番号5〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
わが国繊維工業は、国内需要の伸び悩みと輸入の急増等により、企業倒産の増加、操業低下等きわめて深刻な事態に立ち至っている。よって政府は、かかる事態を打開するため、緊急な融資の拡充、秩序ある輸入体制の確立等に努めるとともに、本法施行にあたり、次の諸点につき特段の措置を講ずべきである。
一構造改善事業の成果が消費者等に反映するよう、繊維製品の流通過程の合理化、不適切な商慣習の排除等取引条件の改善に努めること。
二小規模繊維事業者が経済環境の変化によるしわよせを特に受けている実態にかんがみ、その経営の安定に資するため、資金の確保、下請条件の改善等諸般の措置につき万全を期すること。
三構造改善事業計画の承認にあたっては、事実上大規模企業による支配力が強化されないよう厳重に監督・指導すること。
四秩序ある海外投資、企業進出を期するため、関係業界に対し、適切な指導を行ない、必要な場合には規制等適切な措置を講ずること。
今日、繊維工業は輸入の急増及び消費者需要の著しい減退によつて企業倒産の続出等の深刻な不況の事態にあることにかんがみ、政府は速やかにかかる事態を打開するため繊維事業者の資金需要に十分応えるとともに、本法施行にあたり次の諸点につき十分な措置を講ずべきである。
一公正な取引条件の確保を目的として設置が予定される取引改善協議会の運用にあたつては、関係各方面に期待に応えるよう万全を期するなど取引改善について強力な指導を行うこと。
二繊維製品の輸入増加が国内の繊維市場を脅かし、不況を一層深刻なものにしていることにかんがみ、その実態を調査するとともに秩序ある輸入体制の確立に努めること。
三中小需細企業の事業転換にあたつては、必要な指導と転換資金の確保等に遺漏なきを期するとともに、その際従事者に就職の不安を与えないようにきめこまかい対策を講ずること。
四消費者情報収集機能を強化することによって消費者の嗜好に即応した商品を供給するための体制を早急に確立すること。
五繊維工業の構造改善事業を円滑に推進してその効果をあげるため、特に中小需細及び中堅企業への資金の確保に努めること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=107201032)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。