工業所有権に関する手続等の特例に関する法律案
参議院 商工委員会
平成2年法律第30号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院商工委員会
- H2.4.18趣旨説明商工委員会 3202
- H2.4.25質疑・採決・附帯決議商工委員会 4375
- H2.4.27委員長報告・採決・附帯決議本会議 1420
参議院商工委員会
- H2.5.24趣旨説明商工委員会 2180
- H2.6.5質疑・採決・附帯決議商工委員会 4204
- H2.6.7附帯決議・委員長報告・採決本会議 1348
提案理由
武藤嘉文 通商産業大臣 平成2年4月18日工業所有権に関する手続等の特例に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
近年、先端技術分野を中心とする技術水準の大幅な向上等を背景に、工業所有権に関する出願件数の増大、出願の内容の高度化及び複雑化といった状況が生じております。このため、特許・実用新案の審査要処理期間が長期化し、この点について内外から厳しい批判がなされております。また、出願人側においても、技術開発に不可欠な工業所有権に関する情報の利用が次第に困難になるといった状況が生じてきております。
本法律案は、以上の状況に対処し、工業所有権に関する手続の円滑な処理及び情報の利用の促進を図るものであります。具体的には、社会の急速な情報化の進展を踏まえ、書類に基づいて手続を行うことを規定している現行の工業所有権関係四法に関して、電子情報処理組織、いわゆるオンラインシステムを使用して手続を行う等の特例を規定するものであります。
なお、昭和六十三年五月から工業所有権審議会において慎重な審議が重ねられた結果、本年二月に電子情報処理組織の使用等に伴う特許等制度のあり方に関する答申が提出されており、本法律案はこの答申を踏まえた内容となっております。
次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。
第一は、電子情報処理組織による手続等の導入であります。手続をする者は、電子情報処理組織を使用し、または磁気ディスクを提出することによって、特許出願その他の手続を簡便かつ迅速に行うことができることといたします。また、書面の提出により行う手続については、一部の手続について電子計算機により処理を行うための補充的措置が必要となりますが、今後とも存続させることとします。さらに、特許庁が行う処分、通知等や一般の閲覧等についても電子情報処理組織を活用することといたします。
第二は、磁気ディスクによる公報の発行であります。磁気ディスクをもって特許公報等を発行し、工業所有権に関する情報の迅速かつ的確な利用を促進することといたします。
第三は、手数料等の予納制度の導入であります。特許出願人等が、納付すべき手数料等の見込み額をあらかじめ納め、手続の都度、その中から所要の金額を手数料等の納付に充てることを可能といたします。
第四は、指定機関の活用であります。書面による手続に関し必要な情報処理業務等を指定機関に行わせることとし、所要の規定を置くことといたします。
第五は、要約書の導入であります。特許出願人等は、発明の要約書を願書に添付して提出するものとし、要約書の記載内容を特許公報等に掲載することにより特許公報等の利便性の向上を図ることといたします。
以上がこの法律案の提案理由及びその要旨であります。
何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
第118回国会衆議院商工委員会議録第3号31頁(平成2年4月18日)〔武藤嘉文通商産業大臣発言・発言番号200〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
政府は、本法施行に当たり、我が国の特許・実用新案の審査要処理期間の長期化に対し、内外から批判が高まっている現状にかんがみ、ペーパーレスシステム構築計画を着実に推進しつつ、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
一本法の趣旨・内容について、出願人等関係者に周知徹底を図るため、法施行日まで所要の期間を確保すること。
二電子出願の実施に伴い、中小企業、小規模特許事務所等に過大な経済的負担を強いることのないよう、出願に際し要する費用に配慮するとともに、電子出願に係る支援策の充実に努めること。
三磁気ディスクによる出願を容易ならしめるため、JIS文書規格適合機種及びJIS規格への文書変換ソフトウエアの開発・普及が早急に図られるよう関係業界を指導すること。
四審査要処理期間の短縮化を図るため、審査官等必要な人員の確保、工業所有権情報提供サービスの改善等に引き続き努力し、審査要処理期間を可及的速やかに国際水準とするよう特段の措置を講ずること。
五ペーパーレスシステムの構築に伴う電子計算機の安全対策に万全を期すること。
六指定情報処理機関及び指定調査機関の業務が公正・的確に遂行されるようその業務監督に万全を期すること。
政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
一ペーパーレスシステム化への移行に当たっては、出願人等関係者に対して電子化に伴う新たな手続方法についての周知徹底を図るため、法施行日まで所要の期間を確保すること。
二電子出願の導入に際し、低廉かつ利用度の高いJIS文書規格適合機種等の開発、普及について、積極的に関係業界を指導するとともに、利用者の意見が反映されるよう努めること。
三中小企業、小規模弁理士事務所等の経済的負担の軽減を図るため、書面による出願に要する費用の低減に努めること。
四審査要処理期間の短縮化及び事務処理効率化を図るため、審査官、審判官及び事務官等必要な人員の確保及び待遇改善に努めること。
五ペーパーレスシステムの安全対策に、万全を期すること。
六特許庁の業務の外注化に当たっては、適切に対処するとともに、指定情報処理機関及び指定調査機関の業務の公正、的確な遂行並びに電子計算機運行管理会社における関係業務の円滑な実施に万全を期すること。
七工業所有権情報サービス・システムについては、その内容、利用方法について十分周知を図るとともに、それらが出願等の適正化に資するよう関係機関を指導すること。
八現在協議が行なわれている国際的な特許制度の調和の進展に積極的に協力しつつも、我が国の主張がその成果に十分反映されるよう努めること。右、決議する。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=111801027)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。