外務公務員法の一部を改正する法律案
衆議院 外務委員会
昭和31年法律第12号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院外務委員会
参議院外務委員会
- S31.2.28趣旨説明外務委員会 391
- S31.3.15質疑・修正案趣旨説明・採決外務委員会 5122
- S31.3.16委員長報告・採決本会議 2246
提案理由
森下國雄 政府委員(外務政務次官) 昭和31年2月15日外務公務員法の一部を改正する法律案の提案理由及び内容を説明いたします。
まず提案理由を説明いたします。
現在国際慣行といたしまして、特派大使の制度が世界各国においてとられておるのであります。この特派大使は、外国における重要な儀式への参列その他臨時の重要な任務処理に当り、たとい当該国に常駐の大公使がある場合においても、別に本国から派遣されるのでありまして、当該国との親交関係増進等のため非常に有効な方法であります。しかして、この派遣の場合、特派大使の称号を与え、信任状を携行させることは、この使節の使命と地位を重かつ大ならしめ、また、相手国に対する儀礼上も必須の場合が多く、これまた国際慣行上普通に行われている状況であります。
わが国におきましても、右のごとき外交上の目的に資するため、国際慣行に準拠して特派大使の制度を法律上明白に規定した方がよいと考えられますので、今般この外務公務員法の改正法律案を提出する次第であります。
ここに規定される特派大使は、政府代表及び全権委員と類似の臨時の特別職であり、従いまして、国会法第三十九条ただし書きの規定に基き、両院一致の議決により国会議員も任命されることができるのであります。また、この特派大使は、外国における重要な儀式に参列する場合、天皇の認証ある信任状を携行し、もってその地位の尊重と相手国に対する儀礼の点につき間然するところがないよう考慮を加えた次第であります。
以上が提案理由の説明であります。
次に本法律案の内容につき説明いたします。
まず、外務公務員法第二条におきまして、特派大使の称号及び定義を規定し、あわせて、特派大使は顧問及び随員を随伴できる旨を規定しました。
次に第四条におきまして、特派大使並びにその顧問及び随員は、在任中国家公務員として、職務に専念する義務、上司に忠実なる義務、名誉信用保持の義務及び秘密を守る義務等を負う旨を規定しました。
次に、第八条におきまして特派大使並びにその顧問及び随員の任免は、外務大臣の申し出により内閣が行う旨を規定し、あわせて、任務を終了したときは、解任される旨を明文で規定することとしました。
次に第九条におきまして、特派大使が外国における重要な儀式への参列に際して携行する信任状は天皇が認証する旨を規定しました。
最後に、附則におきまして、国家公務員法第二条に、特派大使並びにその顧問及び随員の称号を追加する措置をとったほか、あわせて、特別職の給与に関する法律第一条第十六号を改正して、同法律中の大使及び公使は、特派大使を含まず、特命全権大使及び特命全権公使をさす旨を明定しました。
以上をもちまして、本法律案の提案理由及び内容説明を終ります。
何とぞ但東御審議の上、すみやかに御採択あらんれことをお願いいたします。
次に日本国とカンボジアとの間の友好条約の批准について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
カンボジアは、一九四九年十一月八日のフランス・カンボジア条約によって独立国の地位を獲得して以来、終始一貫してわが国に対する友好的態度を示してきましたが、なかんずく、昭和二十九年十一月には対日賠償請求権を放棄することを声明し、また、昭和三十年十上月には桑港条約第十六条に基く連合国捕虜に対する戦争損害補償金の同国取得分を日本赤十字社に寄付する旨を申し入れ、その外交の基調が不変の親日政策にあることを内外に表明しました。わが国といたしましても、かかるカンボジアの好意に対し、できるだけ同国との協力関係を密接にし、ひいては東南アジア諸国との善隣外交に資すべく努力しておりましたが、たまたま、昨年十二月上旬シアヌーク総理大臣兼外務大臣を長とする同国の親善使節団の来日の機会に、両国間の友好条約の締結について両国政府間で話し合いが行われました結果、十二月九日東京において両国外務大臣の間で本条約の署名が取り運ばれた次第であります。
本条約は、すでにわが国がアフガニスタンやイランとの間で締結しております修好条約と同様、両国間の友好関係を強化することを目的とし、平和の維持、主権、独立及び領土の尊重、外交官及び領事官の待遇等の両国間の基本的関係に関する数カ条を設けておりますが、そのほか、特にカンボジアとの協力関係を密接にするため経済、技術及び文化協力関係の強化、移住者に対する便宜供与等についての規定が挿入されております。
本条約は、両国間にすでに存在している協力関係を今後とも維持強化すべき根本原則を明らかにしたものであり、本条約に定められている趣旨に従って、今後経済、技術、文化、移住等の諸問題について両国の間で交渉が行われ、その結果合意に達したところに基いて両国の協力関係が具体化されていくならば、わが国にとって大なる利益をもたらされることが期待されます。
よって、ここに本条約の批准について、御承認を求める次第であります。何とぞ慎重御審議の上、本件につきすみやかに御承認あらんことをお願いいたします。
さらに航空業務に関する日本国とインドとの間の協定の締結について承認を求めるの件、航空業務に関する日本国とフランスとの間の協定の批准について承認を求めるの件及び航空業務に関する日本国とオーストラリア連邦との間の協定の締結について承認を求めるの件について御説明申し上げます。
ただいま議題となりました航空業務に関する日本国とインドとの間の協定の締結について承認を求めるの件、航空業務に関する日本国とフランスとの間の協定の批准について承認を求めるの件及び航空業務に関する日本国とオーストラリア連邦との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を一括御説明いたします。
政府は、サンフランシスコ平和条約第十三条及びインドとの平和条約第二条の規定に基き、フランス、オーストラリア及びインドとの間に航空業務に関する協定の締結のための交渉を行なって参りましたが、幸い意見の一致を見ましたので、昨年十一月二十六日にインドとの航空協定、本年一月十七日にフランスとの航空協定、同じく一月十九日にオーストラリアとの航空協定にそれぞれ署名をいたしました。
これらの協定は、さきに国会の御承認を得て締結いたしました日米、日英、日加等の航空協定と同一の目的及び意義を有しておりまして、その内容にも大差はございません。インド、フランス、オーストラリアは、いずれも、サンフランシスコ平和条約及びインドとの平和条約の定めるところによりまして、これらの条約の発効後四年間、すなわち本年四月二十七日までわが国への乗り入れの権利を認められているのでありますが、これらの協定が締結されますとその後はこれらの協定に基く権利に切りかえられ、また、わが国の航空企業も双務的にかつ平等の条件でこれらの諸国へ乗り入れる権利を有することとなるわけであります。
よって、これらの協定の御承認を求める次第であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御承認あらんことをお願いいたす次第であります。
さらにただいま議題となまりました国際民間航空条約の改正に関する議定書二件について提案理由を御説明いたします。
この二つの議定書は、一九五四年に国際民間航空機関、すなわち、いわゆるICAOの第八回総会で採択されたものでありまして、その目的とするところは、ICAOの所在地を総会の決定によって一時的でなく他の場所に移すことができるようにすることと、ICAOの総会の開催回数を現在の毎年一回から少くとも三年に一回に改めようとすることであります。
これらの改正は、いずれも趣旨として望ましいものでありますから、わが国がこれに加入することは時宜に適したものと認められます。
以上の点を了察せられ、御審議の上すみやかに御承認あらんことを希望する次第であります。
第24回国会衆議院外務委員会議録第6号11頁(昭和31年2月15日)〔森下國雄政府委員発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=102401035)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。