公害等調整委員会設置法案
参議院 内閣委員会
昭和47年法律第52号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院公害対策並びに環境保全特別委員会
- S47.3.10趣旨説明公害対策並びに環境保全特別委員会 4151
- S47.3.23質疑公害対策並びに環境保全特別委員会 7167
- S47.4.4質疑公害対策並びに環境保全特別委員会 8293
- S47.4.7質疑公害対策並びに環境保全特別委員会 9322
- S47.4.11質疑公害対策並びに環境保全特別委員会 10255
- S47.4.18質疑・修正案・採決(修正)・附帯決議公害対策並びに環境保全特別委員会 11108
- S47.4.21委員長報告・修正案・採決(修正)・附帯決議本会議 2342
参議院内閣委員会・内閣委員会、公害対策及び環境保全特別委員会連合審査会
- S47.4.25趣旨説明・衆議院修正部分趣旨説明内閣委員会 8222
- S47.5.11質疑内閣委員会 10341
- S47.5.17質疑内閣委員会、公害対策及び環境保全特別委員会連合審査会 1197
- S47.5.25質疑・討論・附帯決議・採決内閣委員会 14247
- S47.5.26委員長報告・採決本会議 1775
- S47.6.16附帯決議本会議 1
提案理由
山中貞則 総理府総務長官 昭和47年3月10日ただいま議題となりました公害等調整委員会設置法案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
現在総理府に置かれている土地調整委員会と中央公害審査委員会とを統合し、新たに国家行政組織法第三条の委員会として、公害等調整委員会を設置し、現在の両委員会の職務、権限に加えて、公害紛争に関する裁定を行なわせようとするものであります。
公害問題は、申すまでもなく、現在緊急な解決を迫られている国民的課題でありますので、政府としては、従来から公害対策基本法の精神にのっとり、各般の施策を講じてきたところであります。公害紛争の解決についても、現に公害紛争処理法に基づいて、和解の仲介、調停及び仲裁を行なう権限を持った中央公害審査委員会及び都道府県公害審査会等を設置し、公害紛争の迅速かつ適正な解決のため努力を重ねているところであります。
しかしながら、現在の制度は、調停にしても、仲裁にしても、紛争の当事者の合意にその基礎を置いた解決方法でありますから、両当事者がその方向で誠意をもって努力する場合には、迅速に円満な解決が得られるという長所を持っておりますが、その反面、事件によっては、おのずからその解決に限界があることは御案内のとおりであります。
一方、最近における国民の公害に対する関心の盛り上がりとともに、公害紛争の簡易、迅速な解決を要望する声は、ますます高まってきております。
このような実情に対処するため、政府としては、公害紛争のもたらす社会性、公共性のほか、因果関係究明の困難さ等公害紛争の解決に固有の問題があることを考慮し、公害紛争処理制度を充実、強化するための裁定制度について鋭意検討を重ねた結果、このたび成案を得た次第であります。
また、裁定制度を採用するにあたっては、かねてからの政府の方針である行政機構の簡素化、能率化に資するため、土地調整委員会と中央公害審査委員会とを統合して、新たに公害等調整委員会を設け、その機能の充実をはかることとしたものであります。
次に、法案の内容について、その概要を御説明いたします。
公害等調整委員会は、国家行政組織法第三条第二項に基づき、総理府の外局として設置することとし、その所掌事務は、公害紛争処理法の定めるところにより調停、仲裁及び裁定を行なうこと並びに鉱業等にかかる土地利用の調整手続等に関する法律の定めるところにより鉱区禁止地域の指定、鉱業権の設定に関する不服の裁定等を行なうこと、その他これらの法律の施行に関する事務を処理することであります。
この委員会は、委員長及び委員六人で組織し、人格が高潔で識見の高い者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命することとしており、委員長及び委員は、独立してその職権を行なうこととしております。
また、新たに行なうこととなる裁定制度については、次のとおりであります。
裁定の種類は、公害にかかる被害についての損害賠償責任を明らかにする責任裁定及び被害とその原因とされる行為との間の因果関係の有無を明らかにする原因裁定の二種類とし、申請については、それぞれその性格に応じて、責任裁定は賠償を請求する者、原因裁定は紛争の当事者が申請することとしております。
裁定の手続においては、当事者の立ち会いのもとに審問を行なうほか、職権で証拠調べ及び事実の調査をすることもできることとしております。
責任裁定の効力については、裁定がされた後三十日以内に訴えの提起がなければ、当事者間に、裁定と同一の内容の合意が成立したものとみなすこととしております。
また、原因裁定をしたときは、関係行政機関に通知するとともに、必要な意見を申し出ることにより、公害の防止等に資することとしております。
以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。
何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
第68回国会衆議院公害対策並びに環境保全特別委員会議録第4号9頁(昭和47年3月10日)〔山中貞則総理府総務長官発言・発言番号2〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
政府は、本法の施行にあたり、次の事項について積極的に対処し、公害紛争処理制度の実効性の確保に努めるべきである。
一公害紛争の迅速かつ適正な処理の必要性にかんがみ、調査体制の充実等につき万全を期すること。
二いわゆる基地公害については、なお問題が存すると認められるので、次の諸点につき、検討を加え早急に結論を出すよう努めること。(一) 防衛施設周辺の整備等に関する法律等の運用にあたっては、補助事業範囲の拡大、補助率の引き上げ並びに損失補償対象の拡充を行なうこと。(二) 防衛施設の運用等から生ずる障害に係る紛争の処理については、学識経験者で構成されている防衛施設中央審議会及び防衛施設地方審議会の意見を徴し行なうよう体制の整備を図ること。(三) 民間が共用する防衛施設たる飛行場の運用に係る障害に関する紛争の処理について、中央、地方を通じ、公害等調整委員会等と防衛施設庁又は、防衛施設局との間に、連絡協議の場を設けるなど実効をあげる方途を講ずること。
政府は本法の施行にあたり、次の事項について速やかに検討を加え、公害紛争処理制度の実効性の確保に努めるべきである。
一裁定測度においては、被害者保護に徹して適切な運用を行なうとともに、公害紛争の迅速かつ適正な処理を図るため、委員会の拡充と調査体制の確立等につき万全を期すること。
一原因裁定については、努めて被害者救済の本旨に則り、裁定遅延にならざるよう配意すること。
一裁定委員会が代表当事者を選定するときは、あらかじめ共同の利益を有する当事者の意見を徴すること。
一調停、仲裁、裁定の手続に要する費用については、被害者の負担を軽減する措置を講ずること。
一防衞施設の運用等から生ずる障害に係る紛争の処理制度については、自衛隊の飛行場を民間が共用する場合の紛争処理方法等を含め、その体制の整備を図ること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=106801065)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。