農産種苗法の一部を改正する法律案
衆議院 農林水産委員会
昭和53年法律第89号
審議経過
右の数字は会議の発言数衆議院農林水産委員会
- S53.4.27趣旨説明・補足説明農林水産委員会 20185
- S53.5.24質疑農林水産委員会 24191
- S53.5.30質疑農林水産委員会 26274
- S53.5.31質疑農林水産委員会 27256
- S53.6.1質疑・修正案趣旨説明・採決(修正)・附帯決議・修正案農林水産委員会 28340
- S53.6.2委員長報告・採決(修正)・附帯決議本会議 3525
提案理由
中川一郎 農林大臣 昭和53年4月27日農産種苗法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
農産種苗法は、種苗が農業生産にとって基礎的な生産資材であり、優良な種苗の流通を確保することがきわめて重要であることにかんがみ、保証種苗の表示の制度一優秀な新品種の種苗の名称登録の制度等により、種苗の品質の向上を期するとともに、育種の振興を図ることを目的として昭和二十二年に制定されたものであります。その後、対象農作物の変更等を内容とする若干の改正がなされ現在に至っておりますが、その間、種苗の検査、優秀な新品種の名称登録制度の運用等を通じてわが国の種苗の品質の向上と育種の振興に大きな役割りを果たしてまいりました。
近年、種苗の国際交流が盛んになるとともに、植物新品種の育成者の権利を保護するために国際的な協調体制を確立することの必要性が認識され、植物新品種の保護に関する国際条約が制定され、諸外国において植物新品種保護制度が次々と整備されるようになっておりますが、現在わが国においてこれら諸外国並みの植物新品種の保護制度が整備されていないため、種苗の海外との交流に支障を来しております。
また、国内的にも最近の農業情勢に即応した品種の育成の必要性が各作物を通じて痛感されているところであります。
また、種苗の流通につきましても、現行法では、発芽率等の一定事項の表示が義務づけられておりますが、近年の種苗流通の実情から、品質管理を徹底させることが関係者から強く望まれております。
政府といたしましては、このような課題を解決して品種の育成の振興と種苗の品質の向上を円滑に進めるために必要な措置を講ずることとし、この法律案を提出いたした次第であります。
次に、この法律案の主要な内容について御説明申し上げます。
第一に、農林水産業の振興を図る観点から、植物の品種の育成者を保護するための登録の対象を、現行法の農作物の種苗から樹木、キノコ類や海草類を含めた農林水産植物の品種に拡大することといたしております。これに伴い、題名を種苗法に改めることといたしております。
第二に、品種の育成者の保護について、現行法では、優秀な新品種の種苗の名称を登録することとし、登録名称を使用して登録種苗を販売する場合には、登録を受けた者の許諾を要することとしておりますが、育成者の保護の徹底を期するため、近年における育成者保護についての国際的動向にもかんがみ、改正法では、品種そのものを登録することとし、登録品種の種苗の有償譲渡、有償譲渡の目的での生産、輸入等を業としてする場合にに 登録を受けた者の許諾を要することといたしております。
また、現行法による登録の有効期間は、三年以上十年以下で農業資材審議会が定める期間とされておりますが、改正法では、通常は十五年、果樹、樹木等の永年性植物は十八年に延長することといたしております。
第三は、種苗の流通の適正化をさらに推進するため、現行法による表示の規制に加え、新たに種苗自体の生産、調整、保管等の基準を定めて公表することとし、種苗業者等による自主的な種苗の品質の向上を促進することといたしております。
以上のほか、登録品種の種苗が二年以上適当に販売されていない場合における裁定の制度、従業者等が品種を育成した場合の使用者との関係等所要の規定を整備することといたしております。
以上が本法案の提案の理由及び主要な内容であります。
何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
第84回国会衆議院農林水産委員会議録第20号21頁(昭和53年4月27日)〔中川一郎農林大臣発言・発言番号181〕 会議録 国会会議録検索システム
附帯決議
まず、案文を朗読いたします。農産種苗法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)政府は、優秀な新品種の育成と良質な種苗の流通が農林水産業の振興の基本であり、その果たす役割の重要性にかんがみ、左記事項に十分留意して本法の施行に当たるべきである。記
一品種登録制度は、品種の「優秀性」を登録要件とはしていないが、育成者の保護を通じて優秀な新品種の育成を図ることが本制度の趣旨であることにかんがみ、制度の施行に当たつては、その趣旨を周知徹底させるとともに、必要に応じ優秀品種の普及奨励のための措置を講ずること。
二育成者の保護の強化に伴い、許諾料及び種苗費が不当に値上がりすることのないよう適切な指導を行うこと。
三種苗の国際交流の円滑化を図るため、本法施行後「植物の新品種の保護に関する国際条約」にわが国の意見を反映させつつ、加盟実現に努めること。
四国及び地方公共団体が行う育種については、試験研究体制の充実とこれに要する予算の確保を図り、併せて育成者に対する報奨等の優遇措置を講ずること。
五民間における職務育成品種の出願等に関しては、従業者の地位が不当に害されることのないよう十全の指導を行うこと。
六民間の個人による育種が農業の発展に寄与してきたこれまでの功績を評価し、国としてもその助長に努めるとともに、無性繁殖等の新品種については、品種登録者の許諾なく不当に増殖販売されることのないよう制度の趣旨徹底、運営の適正化に努めること。
七出願品種の審査等が迅速かつ適正に行えるよう必要な体制の整備及び所要の予算措置を講ずること。
八農業資材審議会の委員の任命に当たつては、本制度の適正な運営が確保されるよう十分配慮すること。
九良質の種苗の生産、流通を確保するため、種苗検査の厳正な実施に当たるとともに、種苗業者等が遵守すべき基準の適切な運用を図ること。また、良質な種苗の生産のための採種事業の育成確保について適切な措置を講ずること。
政府は、農林水産業の基礎的な資材である種苗の適正かつ円滑な生産流通を図り、優良な種苗の供給を確保するため、本制度の実施等にあたつては、農政諸施策との関連を考慮しつつ、育種の振興と種苗の品質向上が期せられるよう、実効ある措置を講ずることとし、次の事項の実現に努めるべきである。
一農業生産等の多様化に対応し、種苗の円滑な国際交流を進めるため、すみやかに国内の体制を確立し、植物新品種保護条約への加盟実現に努力すること。
二農業等の生産増強のためには品種の優秀性が重要であることにかんがみ、制度改正後の運用においてもその趣旨を徹底せしめるとともに、品種の特性等に着目して、必要に応じ優秀な新品種の開発。育成及び普及奨励のための措置を積極的に講ずること。
三育種の振興等に資する観点から、新品種の保護については、品種登録の要件、品種登録の効力等制度内容に即し、適切かつ公正な運用を図るとともに、育成者の保護の強化に伴い、許諾料及び種苗費が不当に値上がりすることがないよう指導すること。
四品種登録有効期間の長期化に伴い、登録品種の特性の保持の検証に必要な登録品種の種苗等の提出及び調査、品種登録の取消し制度の適正な運用を図ること。
五国等が行う公共育種については、農作物等の種類の実態を踏まえ、品種改良に関する試験研究体制の整備充実、予算の確保を図り、さらに新品種育成者に対し報奨等による優遇措置を講ずること。
六本制度が民間育種の振興に寄与する役割の重要性を十分に評価し、個人の育種を助長するよう配慮するとともに、職務育成品種の出頭、登録については、従業者等の地位が不当に侵害されないための指導に努めること。
七無性繁殖等の新品種については、品種登録者の許諾が行われずに増殖譲渡されることがないよう、品種登録の効果の適正な確保・運用に努めること。
八出願品種の審査については、合理的な審査基準の設定を行い、実情に即応し、正当にして迅速な審査・登録の実施がなされるよう、早急な業務執行体制の整備、予算措置を講ずること。また、農業資材審議会の適正な運営を確保するため、その委員構成等について十分配慮すること。
九種苗の流通の適正化を図るため、指定種苗の表示の励行及び種苗検査の厳正な実施、並びに種苗業者等が遵守すべき基準の適用及び勧告・公表の適正な運営を確保すること。また、優良な種苗の生産を図るため、願種及び採種事業の育成整備に努めること。
出典:国立国会図書館「日本法令索引」(https://hourei.ndl.go.jp/#/detail?billId=108401074)を加工して作成(加工:TaiLexi AI) 発言の出典:「国会会議録検索システム」(国立国会図書館)を加工して作成。引用部分は会議録の原文です(見出しは質問の一文、強調は一致した語)。国会答弁・附帯決議は法的拘束力を持つものではありません。